【かなめ日記】指定廃棄物問題を追う その4

掲載日:2015.07.19

国民の声を無視して、安保法案が強行採決された。その途端、指定廃棄物についても、不安が脳裏をよぎった。安倍内閣なら何でもやりかねない。千葉市議会と千葉市長とが、環境大臣に対して意見書を提出してひと月が過ぎた。嵐の前の静けさなのか。心配には理由がある。「住民の声を無視して、強行に調査を始めることは無いですね?」との問いに対して、環境省は決して言下にその可能性を否定しないのだ。


環境省のホームページを見てみると、指定廃棄物について結構詳細な情報が載っている。しかし、それらは全て過去の事実関係だ。住民は今後どうなるかが知りたいのだ。そういう意味で、私は環境省が今、何を日々、この指定廃棄物の件でやっているのかを明らかにしたい。指定廃棄物の部署は総勢60名、彼らのうち半数が福島以外の5県を担当している。しかし、例えば千葉県については、住民説明会の開催以外、何も見通せていない。この事が住民の不安感、焦燥感を高めているのだ。


お隣の茨城県では、実は現在、仮置きしている自治体の首長会議が行われている。首長アンケート調査の結果、分散保管の声が強かったためのようだ。つまり、環境省がこだわる「各県一箇所での保管」方針が受け入れられず、現在指定廃棄物を仮置きしている場所での分散処理の可能性も模索されているのだ。一体、何が千葉県との明暗を分けたのか? 千葉県でも、分散保管の声は複数自治体から出されたのだ。しかも、茨城県で先行してそのような動きがあった事は、千葉県では一切知らされなかった。環境省にとって最も好都合の一箇所保管にこだわったためだ。この一点だけでも、住民の最善の利益など、何も考えていないのは明らかだ。


かつて私が環境大臣に問うた8000ベクレルを下回った場合の「指定の解除」についても、どこまで検討が進んでいるのか、明らかにされていない。さらに、キロ当たり8000ベクレルという基準が実はいい加減なことがわかってきた。つまり、千葉市の7.7トンの指定廃棄物に、汚染されていない同量の廃棄物を混ぜれば、理論上はベクレル値は半減するのだ。それは法令違反でも何でも無いようなのだ。そうすれば、千葉市の指定廃棄物は無くなり、ポイントが1点下がることになる。かの地は最高得点ではなくなる。


もう1点、決定的だったことは、ポイント基準の中に、住宅からの距離というのはあっても、職場からの距離というのが完全に欠落していることだ。確かにあの地には、2キロ以内に住宅は無い。だが、JFEグループの大勢の方々が2キロ以内で働いていらっしゃるのだ。国勢調査のデータのみに基づいて、「有識者」が机上で判断したから、そのようなことが起きた。現場の実態に想像力が及んでいないのだ。だから、この点でも、職場からの近接しているために、かの地のポイントは下がる。ポイントが下がれば、かの地は最高得点ではなくなるのだ。


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