【かなめ日記】「水素社会」
掲載日:2012.08.04
先日の北九州市視察のご報告をします。新日鉄があり九州大学があり、その環境を生かして北九州市では今、街を挙げての水素社会の実証実験が進んでいます。新日鉄がどう関係しているかといえば、製鉄のプロセスで水素が副生するからです。その水素をパイプラインで運び、電気と熱を作り出すのです。それを家庭に持ち込めば、いま売られている家庭用燃料電池のような「改質」(ガスなどから水素を取り出す)することなくいきなり水素が活用できます。さらに水素ステーションを設け、燃料電池自動車を走らせることもできます(こちらは今実証実験中で、2015年から各社が市場投入を予定しています)。
こうした未来の水素社会を実現するには、多くの課題を克服する必要がありますが、その代表例は様々な規制です。たとえばガソリンスタンドに水素供給拠点を併設しようとする際に確保しなければならない距離だとか、あるいは水素を運ぶパイプラインの強度などに、日本独特の厳しい安全規制が設けられているのです。いつものことですが、ガラパゴスにならないように、この辺の改革を進めなければなりません。さらに、もう一つ言えば、燃料電池は現時点ではFIT即ち、固定価格買い取り制度の対象とされていません。それは上述したとおり、現在は燃料電池の一次エネルギーにガスが必要だからですが、再生可能エネルギーを補完する位置づけでこの燃料電池も爆発的な普及を考えるのであれば、こちらもFITに含めることも今後の検討課題だと思っています。
余談ですが、この北九州市と我が地元の千葉市とはイメージが重なります。どちらも製鉄で栄えた、海に面した町だからです。海に面している利点を生かしたまちづくりという意味でも北九州市の方が圧倒的に進んでいる印象でした。そして、水素社会への挑戦という意味でも、千葉市も遅ればせながら名乗りを上げるべきではないかと思っています。ちなみに、首都圏での水素社会の実証実験は、成田空港と羽田空港そして杉並区のロケーションを使って、東京ガスやJXが中心に現在行われています。
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