【かなめ日記】「今後のエネルギー政策」

掲載日:2012.04.27

国政で今、様々な議論が行われているのが、今後のエネルギー政策です。もちろん、その契機となったのは、東京電力福島第一原発の事故です。あの悲惨な事故を、無かったことにすることは残念ながらできません。せめて、あの日を契機に、我が国が新しいエネルギー政策をベースにした国造りに踏み出すべきです。政府は今、「エネルギー基本計画」の改定に取り組んでいます。2003年の策定以降、今回が3度目の改定となりますが、今回打ち出される基本計画は、過去の延長線上であっては絶対にいけません。その象徴が原発で、これまでの基本計画では2030年時点での原発依存度は実に5割以上という想定をしていました。それを今回の基本計画では、どう打ち出すか?

最初に答えを出すべきは、「我が国は、将来、原発ゼロを目指すのか、目指さないのか?」という、そもそもの問いに対してです。ドイツは2022年に脱原発することに決めました。しかし、注意しなければならないのは、そのドイツはお隣のフランスから電力を輸入していて、そのフランスは電力の7割を原発に依存しています。翻って我が国は、これまで電力の需要と供給のバランスを国内に閉じて行ってきました。もちろん、これとて今後も前提として考える必要はないのです。要するに、大切なことは、国民一人一人が、50年後、100年後の日本をどんな国としてイメージするのか、そして、そのイメージの中で、原発は居場所があるのか無いのか、ということです。

結論から言えば、私は原発に居場所は無いと思います。では、日本から原発が無くなる日がいつになるのか?細野大臣が表明した「40年で廃炉」という原則があり、それよりも早く再生可能エネルギーや最新鋭の火力発電技術や省エネ技術、蓄電技術などで十分に需要をまかなうことが出来るようになれば、前倒しして原発を無くせばよいし、逆に、どうしてもそれだけでは暮らしや産業の電力をまかない切れないのであれば、他国からの電力の輸入や、場合によってはもう少し原発を活用することも考える。私としては、政府には、廃炉によって順番に原発が減っていく以上の野心的な目標を、国家の意志として設定してもらいたいと考えています。

かつて、日本は二度のオイルショックに見舞われ、資源制約の中で塗炭の苦しみを味わいながらも、その逆境をバネに「世界一の省エネ技術大国」を作り上げました。新たな試練を与えられた今ふたたび、これからの私たち日本人の生き方の「覚悟」が問われているのだと思います。

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