【かなめ日記】「エストニアから学ぶ」

掲載日:2014.03.10

エストニアの大統領の来日歓迎朝食会に参加してみた。エストニアはかつて私が世界銀行グループに勤務していた頃、環境改善の投資プロジェクトを手がけて、首都タリンにしばらく滞在したこともある懐かしい国だ。加えて、昨年私も取り組んだインターネット選挙運動解禁の議論の時、世界で唯一、インターネット投票が実現している国ということも知った。何と無くご縁の深い国であるが、今回、その大統領が私と同じペンシルバニア大学院を卒業していることもわかった。

大統領はいきなり、eガバメントの話を始めた。とにかくペーパーレス。それに加えてeParliament、すなわち国会の電子化も世界一だとのこと。スマホがあれば国会議員は世界のどこからでも自由に議会に加われる。本会議で一票を投じる行為のみは、物理的に議場に行かねばならないらしいが。

チャンスがあったので大統領に質問してみた。ICTで世界に冠たる国づくりというのは、どういう戦略に基づいた判断か、を問うた。答えは明快、製鉄や自動車や、旧来の産業では、人口130万人の、そしてソ連支配下で何もかもが遅れてしまったエストニアには、到底勝ち目がない。しかし、ICTというこれからの産業ならば話は別だ。そうして、エストニアはSkypeを生み出し、NATOの、世界で唯一のサイバー防衛センターの誘致にまで成功した。小国ならではの意思決定のスピードと一点集中で、エストニアは今や見事に世界から注目される国の一つになった。国の歴史や人口規模に関係無く、やはりどんな国の取り組みにも学ぶべきものがある。

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