【かなめ日記】「地域主権の伏兵」

掲載日:2014.03.11

地域主権の実現には、権限と財源と人間とをセットで地方に移すことが必要だ。当時こんな風に言われたが、政権が自民党に戻ったこともあり、むしろ最近は中央集権が強まっている感もある。国会議員による利権分配と利益誘導とが、自民党政治の力の源泉であるのだから、地域主権には彼らのうま味は無く、中央集権への揺り戻しはむしろ当然のことだとも言える。

ところが、今日の高知県大豊町の視察をして、新しい地域主権の流れをここでも確信することができた。地域主権の肝は、権限でも財源でも人間でもなかった。それは、電源、であったのだ。大豊町は、人口4400人の町。ピークから8割も減った。今でも毎年4パーセントずつ減っている。町の平均年齢は61歳。その大豊町が今、足元にある宝の山を再発見したのだ。

きっかけは民主党政権の時に始まった電気の全量買取制度。それには木質バイオマスも当然に含まれる。そして町の9割が森林だ。林業だけでは採算に乗らなかった森が、電源として、エネルギー源としても資源を活かし切ることで、宝の山になる。特に太陽光や風力発電以上に、山から燃料を取り出す分、木質バイオマスは地元にお金が落ち、雇用が生まれる。

当たり前のことだが、旧来の考え方であれば、大豊町も新産業を生むには好条件は無かった。限界集落第一号とも言われた。しかし、大豊町には、世界一の収穫期を迎えた山がある。そして、このことは、日本の多くの村や町に当てはまるのだ。真の地域主権は、電源を巨大な電力会社頼みとはせず、こじんまりとした分散型の電源を自分の地域に持つという、思わぬところから本格化しようとしているのだ。

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