もっと自給できる日本

掲載日:2023.11.21

 コロナが始まった頃、私は地域で市民農園を借りて自分の畑を始めましたが、以来3年間取り組む中で、改めて日本の進むべき道に関する様々な気づきを得ています。今、食料品やエネルギーの価格高騰が暮らしを圧迫していますが、その根本的な原因は、日本の私たちの暮らしが海外の有限な資源に多くを依存し過ぎていると言う現実です。例えばお米は国内で十分に生産できるのに消費が進まず、他方で圧倒的に輸入に依存するパンなど(小麦)の消費が増え、また従来型の慣行農業で使われる農薬や化学肥料、そして家畜の飼料もその大半が輸入です。加えて農業や漁業に必要な燃料(暖房や動力源)などのエネルギーもほとんどすべて輸入です。アベノミクス以来の不幸な政治が続いてしまった結果、日本の金融緩和は「出口」が見つかりません。その結果の過度な円安もいつ終わるかが全く見通せない中にあって、私たちは国全体として生活や産業の有り様を大きく変えていかなければなりません。真の意味で「もっと自給できる日本」。それは国民に、将来の暮らしに対する大きな安心感を届け、日々の暮らしでは、為替に振り回される可能性を小さくできます。

 就労者が減っていると言う理由などで長らく国の支援が先細ってきた第一次産業こそが暮らしの基本であり、日本は第一次産業への認識を改めて、支援を大幅に強化するべきです。そして化石資源が乏しいと言う我が国のハンディをテコに、省エネと再エネへの支援も大幅に強化し、一刻も早く自然エネルギー社会を確立せねばなりません。毎年、輸入対価として海外に支払う10兆円、20兆円(これが円安で更に膨らんでいます)のお金が、日本国内で回る(例えば、断熱リフォーム=国内にお金をかけて、毎月の電気代ガス代=輸入を減らす)ようになれば、全国津々浦々、新しい雇用が生まれることで地域活性化が進み、21世紀の後半には少子化の改善が見通せる日本も視野に入ってくるはずです。たとえ日本の先行きが憂鬱になるほど暗くとも、政治が今動くことで、子供たちに明るい未来を何としてでも残していかねばなりません。政治が動くこと、それすなわち有権者が動くことです。

 今年の冬には、私の畑で完全有機の大根、人参、ブロッコリー、そしてそら豆を収穫できる予定です。日本も、今からでも正しい方法でしっかり耕し育てることで、必ず将来の大きな収穫につながるはずです。

 

たじま要

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