【現地本部長日記】「福島市立大波小学校」
掲載日:2011.08.05
福島市内でも線量が高い地区と言われるのは例えば渡利地区と大波地区ですが、先日、その地域にある大波小学校を訪ね、市内の学校における放射線対策などに関して色々お話を伺ってきました。
福島市内の小中学校には、被災地から約950名が転入してきており、一方、福島市内からは約340名(うち、県外へは約320名)が転出しています。市内の小中学校には約2.4万人の生徒(小学校1.6万人、中学校0.8万人)がおりますので、そのうち1.5%くらいが転出した計算です。夏休みに入り、また生徒が転出する動きが高まっていて、2学期からは更に580名以上が転出する可能性があるようです。ここ大波小学校でも、4月の新学期の始まりには全校生徒数30名(大変小さな小学校でした)、ところが夏休みに入った時点では23名まで減ってしまいました(特に低学年が転出)。
一方、これまでの学校関係者の除染などのご努力で、学校自体の放射線量は大きく低減しており、ここ大波小学校でも、屋外で除染前3.23μSv毎時から除染後0.42μSv、屋内で除染前0.44μSvから0.12μSvです。更なる努力は必要ですが、一応の安心レベルにまで至っています。
私がそれでも気になってしまうのは、ご家庭の都合で残る選択を余儀なくされている子どもたちのことです。学校が頑張って線量が下がり、そして夏休みになって学校が休みになり、線量の全く下がっていない自宅での生活時間が逆に増えてしまっているという、今はこういう現実です。こうした、夏休みでも線量の高い地域に残っている子どもたちの自宅の除染を急がねばなりません。
ひとつ福島市が行っている良い施策がありました。全ての子どもたちに夏休みを利用した北海道などでの体験事業をやることです。民間団体などがこの夏の福島の子どもたち向けに様々なプログラムを用意しているのですが、難点はどれも募集人数の関係で早い者勝ちになってしまうことです。その点、福島市のこの施策は、そうしたチャンスに恵まれない全ての子どもたちが漏れなく救われるのです。さらにできることの知恵を絞りたいと思います。
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