【現地本部長日記】「第二ステップ一ヶ月目」

掲載日:2011.08.17

武田邦彦先生はそのご著書「放射能と生きる」(ちなみに、拝読した印象は極めてオーソドックスで、むしろ他の多くの関連本に比べて内容的に充実し、かつ不安な住民のみなさんに対する優しい眼差しを感じる内容です)の中で、テレビで盛んに専門家が議論している東電の工程表は「原発オタク」のようなもので、そんなことよりも国民を被ばくからどう守るかが今最も重要だ、あまり原発に注意を向けず、身の回りに注意を向ける時期だ、という趣旨の日記を4月20日の時点で書かれています。全くもってその通りだと思います。私も6月1日から福島に赴任・駐在をしていますが、強く感じたことは、住民のみなさんの関心はもっぱら自分たちの暮らしの周りの放射能であって、東電の原発は初期の爆発等による放射性物質の大量放出が収まったと考えられる3月16日以降は何事も無く収束させて当たり前、住民のみなさんには殆ど関係のない話なのです。

従って、今日が7月17日(発表は7月19日)に終了した第一ステップからのひと月目、つまり第二ステップの最初の一ヶ月が終了したわけですが、住民のみなさんに関心の持っていただけるようなトピックは特にありません。ただ、政府は、第二ステップ終了後に警戒区域への住民の帰還の準備を始める、としていますので、その意味で第二ステップがいつ終了するのか、ということは住民のみなさんの大きな関心事であります。第二ステップの終了は今年の10月末から来年の1月末までの間に、つまり計画では終了時期に3ヶ月も”幅”を持たせているわけですが、当然現場では一日でも早く、そして出来うれば年内のどこかで、という風に頑張っているところです。引続き冷温停止に向けて原子炉と燃料プールを冷やし続け、汚染水の処理を進め、地下水・海洋の汚染拡大を防止し、そして原子炉建屋にカバーをかける。こうした一連の具体的項目を着実に前へ前へと進めて参ります。

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