【現地本部長日記】「伊達市での実証事業」

掲載日:2011.08.24

【現地本部長日記】「伊達市での実証事業」

伊達市霊山というところで今日から除染の実証事業がスタートしました。今、細野大臣とともにその現地の視察をしてきました。縦横それぞれ100メートル以上の区域を指定して、そこを集中的に除染します。その区域の中には、いわゆるホットスポットの指定を受けたお宅1軒を含む数件の民家があり、すぐ奥には裏山もあります。様々な要素を含む場所に対して、複数の除染技術を適用し、その効果を測っていきます。作業の主体は独立行政法人のJAEAと環境省、現地対策本部です。

実証実験は、今後の本格的な地域の除染に向けた様々な課題を探るためのものでありますが、現時点では以下のような課題があると思います:

・地域のどこから除染をすべきか、の優先順位付け。大掃除の理屈と同じで、理論上は「山のてっぺんから」というのが正しいはずなのですが、それでは生活空間にたどり着くのに時間がかかり過ぎます。私は、とにかく子どもや妊婦が暮らすお宅が最優先と言い続けていいます。それには、そのお宅の屋根の除染と、もし近くに山林があればその隣接部の除染がポイントだと思います。

・雨風の影響で、除染してもまた元の高い線量に戻ってしまうことがあります。何度も繰り返し除染することになるのか、しばらく先送りするのか。これも優先順位の問題でもあります。

・これからの福島の四季・気候を考慮に入れる必要があります。紅葉の季節には落葉するのであれば、落葉の前に除染すべきか後にすべきか。台風や積雪に対しての留意点は何か。

・生活する人々の生活のサイクル、たとえば子どもの学校の学期サイクル、田畑での収穫サイクルに対する配慮には何があるか。

・素人にできる作業か、プロの領域かの選別。特に屋根の作業と山林への対処。

もちろん、色々な手法を駆使して、それらの費用対効果を評価する必要があります。そして、何より、地域それぞれの最大の難題は、除染の結果出てきた放射性の土などを、どこに保管するのか、ということです。

関連記事

記事はありません