【現地本部長日記】「汚染水浄化と循環冷却」
掲載日:2011.06.13
かつて非常に拙い情報公開のやり方で低レベル汚染水9000トンを海中に捨ててしまったことで、多くの国民の皆様が心配しているもののひとつが事故収束に向けた活動の過程で増え続ける汚染水の問題です。今回、その現状を報告します。
事故収束状態に向かうべく現在進められている原子炉の『冷却』には、従来外部から新たな水を継続して注入する方法がとられてきましたが、まもなく事故後初めて、同じ水を汚染処理しながら繰り返し使う循環冷却が開始されます。フランスアレバ社と米国キュリオン社の設備を導入し、セシウムはじめ放射能レベルを低下させます。具体的には、処理前の汚染水(滞留水と言われているもの)の放射能レベルは一立方センチメートルあたりのBq(ベクレル)が10の六乗オーダー、キュリオン後は10の三乗オーダー、アレバ後が10のゼロ乗オーダーを目標。このように低レベル汚染水に変えて、低レベル用タンクに移し、一日あたり500トンを使って循環冷却を始めます。
ここまででは低レベルとは言え、まだ許容レベル(浄化水)とは言えません。その後、8月目途でこの処理後の低レベル汚染水を蒸留による塩分除去を行い、10のマイナス二乗オーダーという法律で許容されている海洋放出レベル(浄化水)にまで下げます(原子力安全委員会の指針に基づきます)。とは言っても、今回はそれを海中に放出させるのではなく、すべてタンクに貯蔵させる方針です。先日の報道で、東電が福島第二で3000トンの汚染水を海中に放出しようとして水産庁が反対している、というニュースが流れましたが、実際にはこの水は許容レベルを下回っている水であること、さらに、それでも放出は一切行われていないことをご報告いたします。
外部から水を注入し続けるのではなく、循環冷却が始まるというのは、事故収束に向けた大きな前進の一歩と期待したいのですが、ここ数日はその設備が順調に稼動すること、そしてまた浄化の「目標」を達成できる機能を見届けたいと思います。
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