【現地本部長日記】「結局は経済的理由」

掲載日:2011.07.13

今日は、県庁の前にある福島南幼稚園に子どもさんを通わせているお母さん方約40名と一時間半弱の間、意見交換をさせていただきました。これまでにも二度ほど小グループでの話し合いは行いましたが、今日は、過去最大規模になりました。すべてのお母さん方と、というのは無理なことですので、ここの幼稚園と率直な意見交換の場を持ち、現場の声を東京に届ける狙いです。

夏休み目前ということで、この夏、子どもたちをどこでストレスなく過ごさせるか、など色々なお話を伺うことができました。この幼稚園の場合、通園を止めて県外に移住、というご家庭はまだ一軒も無いということなのですが、今日、口頭でアンケートを取ったところ、「仮に経済的な制約が無ければ」という条件を付したところ、ほぼすべてのお母さん方が県外移住をご希望されていることがわかりました。そしてそれが現実には行えない理由も、具体的には色々出るのですが、結局はご本人や配偶者の仕事の事情はじめ、経済的な理由でした。

確かに、警戒区域や計画的避難区域、緊急時避難準備区域や特定避難勧奨地点(いわゆるホットスポット)と、こうした特別な地区や地点に突然に指定をされ、日常にご不便をお掛けしている県民の方々に対する、さまざまな支援策が重要なことは言うまでもありません。しかし、その一方で、特段の区域指定はされずとも、例えば福島市のように、県外から比べれば相当に高い空間線量が続いている地域はたくさんあります。そうした地域に事故当日から住まわれている方々は、特段の具体的な支援策も示されぬまま、このままでいいのかと悩み続けている現状があります。

一方では、今後も住み続ける選択をされる方々のために、地域の線量を下げるための除染が極めて重要であることは論を待ちませんが、他方、県外などへ移住する選択肢に対して、国などが何らかの支援策を講じていくことも検討しなければならないのではないか、と感じています。ただ、この流れが出てくれば、たとえば幼稚園の園児が激減し、残った園児のためには、幼稚園の経営支援策も講じる必要が出てきます。そして、子育て世帯が極端に少ない自治体というのが、今後、持続的に成り立ちうるのか、という観点からの課題も出てきますので、自治体の観点からは難しい問題であるのも事実です。いずれにせよ、夏休みの福島の子どもたちの生活をどうするか、ということを超えて、子どもたちの安心の未来のために、国はいま何をすべきか、改めて問い直していきたいと思っています。

関連記事

記事はありません