【現地本部長日記】「内部被ばく検査の中間報告」

掲載日:2011.07.26

ホールボディーカウンター(WBC)による測定を始めて一月が過ぎました。その中間報告をさせていただきます。 まず、千葉県の放射線医学総合研究所(放医研)において、福島県の浪江町、飯舘村、川俣町(山木屋地区)の住民122名の内部被ばく線量の測定が終わりました。測定結果ですが、まず半減期が8日のヨウ素131は一切検出されず、セシウム134は5割近く、137は3割近くの方から検出されました。そして測定評価ですが、セシウム134及び137による預託実効線量(その人が70歳になるまでに被ばくする線量の総量)がそれぞれ1ミリシーベルトになるような量のセシウムを全量3月12日に摂取したと仮定(もっとも安全サイドの仮定)した場合の数値と比較して、今回の測定値は十分に低い数値でした(関連する資料がホームページにアップされ次第リンクを張る予定です。)なお、この検査は4歳以上について行われましたが、0歳から3歳の乳児については物理的に測定が困難であったため、乳児はその母親の測定を行うことになりました。 一方、茨城県のJAEAでの測定は7月に入ってからスタートしていますが、こちらは8月下旬までに同じ3町村の2800名を測定する計画で、今のところ約600名が済み、こちらでの検査でも、懸念される数値は全く出ていないとの報告を受けています。JAEAと放医研とで評価基準などが同じであることは言うまでもありません。放医研に加えて、このJAEAを住民の被ばく検査で活用することは、私が6月に着任してから決断をしたことですが、放医研に比べて短時間で測定可能なWBC装置を複数台備えているため、短期間に大勢の住民の測定をこなすことが可能で、今後も力を発揮してくれるものと思います。 なお、ヨウ素131については、課題を残しており、今後その評価をどのように行えばよいか専門家による検討委員会で検討することになっています。ただ、一つ参考になるのは、震災から間もない3月26日から30日に、いわき市、川俣町、飯舘村において、1080人を対象に小児甲状腺被ばく調査を行っております。(http://www.nsc.go.jp/anzen/shidai/genan2011/genan031/siryo4-3.pdf) 不十分とはいえ、まずは先行して始めた3町村のデータが、懸念される数値を示していなかったことは何よりであります。私が福島に着任早々、浪江町の馬場町長が「避難した浪江町の住民8000人が、結果的に線量の最も高い北西方面に位置する津島地区に逃げ込み、そこで沢水を使って炊いたご飯でおにぎりを分け合って4日間暮らした」と話されたことが今でも忘れられません。引続き検査を継続し、県民の安心を高めていきたいと思います。

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