【現地本部長日記】「防災の日に思う」
掲載日:2011.09.01
私の福島駐在が4ヶ月目に入った今日は、9月1日の防災の日でもあります。現在、政治的には野田新総理の下で閣僚人事が進んでいるはずで、政務官として現地対策本部長を務める私に関しても、今後のことは全く未定であります。原子炉は粛々と第二ステップの歩を進め、地域では除染活動が徐々に動き出し、一方、東京電力による賠償金の本払いもこれから始まるところまできています。改めて、防災の日に際し、三点を申し上げます。
第一に、原発事故の原因ともなった大地震・津波は、必ず繰り返されるということです。いま私たちは目先の復旧・復興・事故対応に追われていますが、冷静に考えれば、東海・東南海・南海沖地震は、この間足踏みをしてくれているわけではなく、むしろ、既に秒読み段階に入っていると考えた方がいいのです。「起きるか起きないか、ではなく、いつ起きるかの問題である」という言葉通り、この防災の日に、新たに気を引き締めていかねばなりません。非常事態が起きてからやおら協議を始めるのではなく、普段から関係各所でシュミレーションできることは多々あります。それらに今こそ網羅的に着手する必要があります。
第二に、海外での原発事故への備えです。日本の今後の原子力政策とは関係なく、近隣のアジア諸国だけを見ても、韓国・中国・ベトナムと、原発は次々と新規建設(しかも恐らく多くが東側の海岸沿いに)され、今回と同程度、あるいはそれ以上の原発事故はいつか必ず繰り返されるという想定を置くべきです。そのときに、わが国の今の苦労が活かされるよう、今日のあらゆる取り組みが知見として蓄積され、共有されるべきです。また、世界中の研究者・専門家・技術者が持てる能力と知見とを持ち寄り、まさかに備える必要があります。
第三に、テロ対策です。原発事故が先進国の社会経済を大混乱させうることを、わが国は世界中に証明してしまいました。テロ組織にとって、今後原子力発電所などは、テロの格好の標的となったわけです。日本は従来からこの分野への対応が大変に甘いと国際社会からも批判されているようですし、改めて防災の一貫としてのテロ対策の強化を図らねばならないと思います。米国の手法を学び、国内でしか通用しないような規制を撤廃してグローバル水準を実現する必要があります。
言うまでも無く、目先の事故収束と被災住民支援は喫緊の課題ではありますが、それに忙殺されて再びこうしたことの突発に「想定外」と言い訳することのないように、野田内閣として周到に取り組んでいかねばなりません。
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