【かなめ日記】「朝霞の公務員住宅」
掲載日:2011.09.26
一昨年の事業仕分けを受け、公務員住宅の制度は大きく見直しをされることになりましたが、再検討の結果も、この朝霞ともう一箇所、方南町については、新規の建設が当時の政府決定でした。しかし、現在の私の意見は、3.11が起こり、全ての前提条件、外的環境が変わったため、この決定は白紙に戻す英断をすべきというものです。関連各方面には契約上のご不便・ご迷惑をお掛けすることがあったとしても、やはり被災地の事情にかんがみ、関係者には誠意を尽くしてご説明し、所定の違約金などはお支払いをしてでも、事業は凍結すべきです。
私は福島県に単身で91日間駐在をし、その間に体育館や仮設住宅、旅館などで不自由な暮らしを余儀なくされている多くの被災者・避難者にお目にかかりました。ようやく、体育館での集団生活の日々は終わり、旅館・ホテルでの仮住まいも終わり、仮設住宅や民間賃貸住宅での生活を多くの被災者が始めていますが、本来のふるさとで、自分の家での当たり前の生活ではないことには変わりがありません。同じ日本の国民の多くが辛く苦しい日々を余儀なくされている今、たとえ一棟でも、不要不急の公務員住宅の新設など、断じて行うべきではありませんし、被災者のご苦労を想像したら、とてもやれるはずもありません。税調の議論で、国民に新たな負担をお願いする様々な議論が出ている ときだからこそ、なおのことそうです。
本質的な問題は、世界の先進国でもおそらく他には例の無い、公務員に住宅を国費で提供する社会の仕組み自体が、既に公務員ではない大多数の 日本人の多くにとって受け入れられるものではない、という点です。民間のアパートや賃貸マンションが十分に供給をされていない地域で、公務員が大勢働かなければいけないような特別の事情がある場合は別として、いくらでも住宅供給が行われている首都圏で、公務員専用の住宅を新設するなどという、そうした発想は過去のものにすべきときに来ていると考えます。
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