【現地本部長日記】「ブルーシートを急ぐ理由」

掲載日:2011.06.21

昨日テレビで、被災地では瓦職人が足りない、というニュースをやっていました。それもそのはずです。東北地方を中心に激しい揺れで多くの瓦屋根が同時多発で被害を受けました。被災地を訪れると、どこでも必ず屋根にブルーシートが掛けられている家屋をたくさん見かけます。初めて訪れる被災地でも、そのブルーシートの数で、その町の揺れの激しさが想像できるほどです。

ところが、その不足している瓦職人ですが、ニュースによれば、福島県は人手不足の度合いが突出しているらしいのです。聞けばなるほどと思うのですが、ようするに放射線を恐れて、屋外作業を請け負ってくれる業者がなかなか見つからないのだそうです。

確かに、人が受ける被曝線量は、たとえば鉄筋屋内を1とすると、木造屋内が4、そして屋外が10という具合に、被曝量が大きく違います。土木工事の方やガードマンさんや交通整理の方、スポーツ選手などをすぐに思い浮かべていましたが、思わぬ盲点が震災後に需要が高まるこの瓦職人さんでした(植木職人さんもでしょう)。

現在、ここ現地対策本部も協力して、半径20キロ圏内の警戒区域内の町で、ブルーシートを屋根に掛ける作業がスタートしています。梅雨の時期に家屋が傷むのを心配した方々からの強い要望で実現したものです。これまでは、梅雨が近いからブルーシートを急ぐのだ、というふうにだけ思っていたのですが、その番組のとおり、もう一つ理由があったのです。要するに、瓦を修理したくても、瓦業者が福島にはなかなか入ってくれない、ということなのです。

ちなみに、ブルーシートを掛けるのも屋外作業と言う意味では同じです。ただ、一軒に要する所要時間は違います。しかし、警戒区域の家屋の問題は、家主が雨漏りや家屋の傷み具合を確認することすらできない、という点にあります。ですから、「念のため」という動機でブルーシートを希望するお宅が大変多いのです。人手が厳しいですが、もう梅雨に入りましたので、なんとか台風シーズンには間に合わせたいと思っています。

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